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このフロント、どう動く? Indian Concept Girderを写真で見比べる

2026.10.23

FLOW STYLE CUSTOM · CUSTOM STUDY

現代のChiefに、ガーダーフォークという選択。前から、横から、製作途中まで。Indianのコンセプトモデルを、カスタムの目線で見ていきます。

Indian Concept Girderのフロント左斜めからの完成車写真
まず目を引くのは、エンジンよりも前にある銀色のフロントまわり。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Concept_Girder_Front-FINAL

こんにちは、フロースタイルカスタムです。今回は、Indian Motorcycleが手がけたIndian Concept Girder(インディアン・コンセプト・ガーダー)を取り上げます。

赤い外装と金色のグラフィックも印象的ですが、つい見てしまうのはフロントまわり。見慣れたChiefのVツインに、すっと伸びた金属の造形。その間に見えるスプリングが、この車両の主役を教えてくれます。

本記事はメーカーの公式資料・写真と、デザイン責任者の公開発言をもとにした紹介です。FSCの製作車両ではありません。実車の取材・試乗は行っていません。

Concept Girderは、どんな車両?

2025年のEICMAで披露されたデザインスタディです。公式資料ではThunderstroke 116 Vツインを搭載し、1946年のChiefに採用されたガーダーフォークへのオマージュと説明されています。塗装はBurt Munroのストリームライナーに着想を得たものです。メーカー公式紹介/デザイン責任者の発信

ここでいう1946年は「Chiefへの採用」の年。ガーダー式そのものが、この年に発明されたという意味ではありません。

Indian Concept Girderの右側面全体写真
横から見ると、フォーク、タンク、シート、短いテールの関係がよく分かります。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / 2025IDConcept_Girder_Hero

116搭載Chiefをベースに、外観を見比べる

Concept Girderの元車両は、Thunderstroke 116を搭載したIndian Chiefです。デザイン責任者Ola Stenegärd氏が、公開インタビューで説明しています。

ここではキャストホイールや車体のシルエットを見比べるため、2025 Indian Chief(Heavy Metal Smoke)の商品画像を外観参考として並べています。この参考画像の市販仕様はThunderstroke 111であり、116搭載の元車両とは別仕様です。111から116へ載せ替えたという比較ではありません。

以下の標準Chiefは、Conceptの実際の元車両を撮影した写真ではなく、別個体・別仕様の外観参考です。同一個体の改造前後ではありません。縮尺や撮影条件が異なるため、画像上の大きさから寸法差は測れません。元車両が116搭載Chiefであることは確認できますが、ホイールの類似だけで年式・グレードや部品番号までは特定していません。

2025 Indian Chief Heavy Metal Smokeの右側面商品画像。標準モデルのキャストホイール
外観参考:2025 Indian Chief(別個体・別仕様)
Heavy Metal Smoke。Conceptの実際の元車両ではありません。キャストホイールと車体のシルエットを比較。画像:DX1配信商品画像 / 2025 CHIEF HEAVY METAL SMOKE
Concept Girderの右側面。比較用Chiefとは別個体
Concept Girder
同じ右側面から、フロントとテールの印象を比較。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / 2025IDConcept_Girder_Hero
外観参考に用いた別仕様ChiefとConceptの比較
見る場所外観参考の標準Chief(元車両ではありません)Concept Girder
エンジン参考画像の市販仕様:Thunderstroke 111、1,811ccThunderstroke 116搭載Chiefがベース
フロント46mmの正立テレスコピック式専用ガーダー式
ホイール前19/後16インチのキャストキャストホイール(写真で確認)
ハンドルドラッグバーFlandersスタイル
後部ボブドリアフェンダー専用の短いテールセクション
位置づけ市販モデルメーカーのデザインスタディ

比較車の数値は2025年米国メーカー公式仕様、Concept側はメーカー紹介とOla Stenegärd氏のインタビュー回答に基づきます。比較車の数値をConceptの仕様として流用していません。

1946年のChiefから、ガーダーフォークの歴史を見る

Concept Girderがオマージュを捧げたのは、1946年にガーダーフォークを採用したChiefです。まずは、その時代のChiefを見てみましょう。

1946年式Indian Chiefの現存車。黒いガーダーフォークとヘッドライト後方のコイルスプリングが見える
1946年式Indian Chiefの現存車。フロントの黒い部材と、ヘッドライトの後ろに並ぶコイルスプリングに注目です。写真は2018年4月22日撮影で、1946年当時の記録写真ではありません。“Indian Big Chief (40985054024)” — Thomas Vogt / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons。写真全体を縮小表示し、内容の加工・トリミングは行っていません。

筒を伸縮させるのではなく、リンクで動かす

ガーダー式は、前輪を支える骨格をリンクで車体側につなぎ、コイルスプリングで荷重を受け止める構成です。前輪を支える部分がリンクを介して動く点が、内外の筒を伸縮させるテレスコピック式との大きな違いです。

この1946年式の写真では、前輪へ伸びる黒い部材、ヘッドライト後方のスプリング、その上下のつながりを順に追うと、外から見える構造の面白さが伝わってきます。見た目が似ているというだけで、現代のConceptと同じ部品や寸法、動き方だと考えることはできません。

1946年は「発明の年」ではなく「Chiefへの採用年」

Ola Stenegärd氏は、ガーダー式自体はIndianの発明ではなく、1946年のChiefに採用された時点でも新しい方式ではなかったと説明しています。Indianでも1930年代のScoutで使われ、戦時中には軍用の841にも採用されていました。

Indianにおけるガーダーフォークの流れ
時期車両・変化
1930年代Scoutでも、競技・公道でガーダー式を使用。
戦時中軍用Indian 841にも採用。Hagley Museumの実車解説でも、リンクと2本のスプリングを持つ構成が紹介されています。
1946年Chiefにガーダーフォークを採用。それまでのリーフスプリング式から切り替わります。
1950年Chiefは油圧式テレスコピックフォークへ移行。

歴史の説明:Ola Stenegärd氏へのインタビュー、National Motorcycle Museumの1946年Chief解説、Hagley Museum and LibraryのIndian 841解説に基づきます。

その流れを踏まえてConceptを見ると、単に昔の部品を現代の車体に付けたものではないことが分かります。1946年のChiefが持っていた「構造が外から見える印象」を、現在のChiefでどう見せ直すか。銀色のフロントまわりには、そんな楽しみ方もありそうです。

主役のガーダーフォークを、近くで見る

Concept Girderのガーダーフォーク、スプリング、前輪の詳細
左右の大きな部材と、その間に見えるスプリング。表面の仕上げだけでなく、部品同士のつながりにも注目です。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Concept_Girder_Fork_Final

一般的なガーダー式は、前輪を支える構造体をリンクで車体側につなぎ、ばねとダンパーで上下動を制御する構成です。フォークの内外の筒が伸び縮みするテレスコピック式とは、動きを受け持つ部分の構成が異なります。Conceptの写真では、中央のスプリングと上側のリンク付近を追うと、形の意味が読み取りやすくなります。

市販Chiefのフロントと見比べると、輪郭の違いがはっきりします。Conceptでは銀色の部材が大きく露出し、車体前方の空間そのものがデザインになっています。

デザイン責任者Ola Stenegärd氏のインタビュー回答によると、この試作車のフロントはビレット材からの削り出しで、ショックも専用仕様。ライトはフォーク側ではなくトリプルツリー側に取り付け、揺れ方にも配慮しています。設計についての本人の説明

見た目の珍しさだけでなく、ライトをどこに支えるかまで考える。カスタムを見るときには、こうした取り付け方も気になるところです。

後ろから見ると、もう一つの作り込みがある

Concept Girderを右斜め後方から見た完成車写真
細く絞られた後ろ姿。タンクからシートを通り、テールへつながる流れが見えてきます。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Concept_Girder_Rear-FINAL

横から見たときの軽快さは、フロントだけで生まれているわけではなさそうです。市販Chiefのリアフェンダーと比べると、Conceptの後部は短く、シートと一続きに見える構成になっています。前だけを強く変えても、全体の印象はここまで変わらないのかもしれません。

Concept Girderの35番テール、シート、サイドカバー、マフラー
テールの「35」と、横に走るラインが入った金属のサイドカバー。赤・黒・金属色の配分にも注目です。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Concept_Girder_Tail_FINAL

Flandersスタイルのハンドル、削り出しのサイドカバー、カスタムシートも、デザイン責任者が挙げるポイントです。デザイナーによる見どころの紹介

さらにOla氏は、ホイール、Stage 1エアクリーナー、マフラーに既存のChief系・アクセサリーの部品を使ったと説明しています。すべてを専用品に置き換えるのではなく、既存部品を組み合わせている点も見どころです。エアクリーナーの名称だけから、エンジン全体のチューニング内容を推定することはできません。既存部品についての説明

写真を見ると、後輪の黒、サイドカバーの明るい金属色、テールの赤がそれぞれの輪郭を引き立てています。近くで見る部品の表情と、少し離れたときのまとまり。その両方を見たくなる仕上がりです。

完成写真だけでは分からない、製作の過程

公式ページには製作途中の写真も用意されています。完成車と並べると、最終的な色が入る前から、フロントやシート後方のボリュームを検討している様子が見えてきます。

Concept Girderの製作途中の側面写真 Build_1
製作過程の側面写真。完成車とは色や表面の状態が異なります。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Build_1
Concept Girderのフォークとタンク周辺の製作写真 Build_2
フロントまわりの製作途中。完成時と同じ場所を見比べたい一枚です。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Build_2
公式資料でConcept Engineerと紹介されるNiclas Roch氏と車両
車両とともに写るConcept EngineerのNiclas Roch氏。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Build_3
Concept Girderの公式製作資料に含まれるクレイスタジオの道具
クレイスタジオの道具と削りくず。形を探る工程も公式に紹介されています。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / ©Hermann-Koepf-Indian-Motorcycle-CH-Clay-Studio-DSC09482
Concept Girderのフォークとフロントまわりの公式デザインスケッチ
フロントまわりのデザインスケッチ。実車写真とは区別し、形の検討資料として掲載しています。画像:Indian Motorcycle Media EMEA / Concept__Girder_Sketch_6

走ることを考えたコンセプト。ただし、市販車とは分けて考える

Ola氏は、走行を想定して組み立てた車両であると説明する一方、発表時点ではデザインスタディだと明言しています。インタビューの回答

そのため、ここで乗り心地や制動力の優劣を決めることはできません。写真のインパクトと、実際にどう動くかは別の話です。Concept独自の車重、ジオメトリー、サスペンションストロークなども、今回確認した資料では数値をそろえられませんでした。

調査時点で確認できた資料からは、量産・販売や、このフロントの市販Chiefへのボルトオン装着を保証する情報は得られていません。

Chiefには、まだいろいろな見せ方がある

Concept Girderを見ていて面白いのは、エンジンの存在感を残しながら、フロントとテールで車両の雰囲気を大きく変えているところです。

ホイール、ハンドル、外装。それぞれを選ぶ楽しさもありますが、少し引いて一台を眺めたときに、どんな姿にしたいのか。そんなことを考える材料にもなる車両だと思います。

今回はメーカーの一台を、写真でじっくり見てみました。最初はフロントに目が行っても、見返すたびに気になる場所が増えてきます。

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